弁護士コラム

2017.03.10

4 遺産の共有 相続分(4)

今回は、譲渡人以外の相続人による、相続分の取戻しの制度についてお話しします。

 

相続分が第三者に譲渡されたときは、その他の共同相続人は、譲渡から1か月以内であれば、価額および費用を償還して相続分を取り戻すことができます(905条)。

この取戻権は、いわゆる形成権であり、譲受人に対して一方的な意思表示をすれば効果を有し、相手方の承諾は不要です。

もっとも、取戻権を行使するにあたっては、その時点における当該相続分の時価を現実に相手方に提供しなければなりません。

 

相続分が共同相続人に譲渡された場合は、一部の共同相続人の相続分が増えただけで第三者の介入という問題は生じないので、この取戻権は発生しません。

また、相続財産全体ではなく、個別の財産に対する持分(特定財産の共有持分と同じです)が譲渡された場合にもこの規定は適用されません。

 

そして、取戻権の行使がなされると、相続分の譲受人は相続分を失い、その分の相続分は取戻権を行使した相続人に帰属します。

 

 

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投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2017.03.10

3 遺産の共有 相続分(3)

次に、相続分の譲渡の効果についてお話し致します。

 

相続分の譲受人は、遺産の管理や遺産分割の手続きに参加することができます。

その一方で、相続分を全部譲渡した相続人は、それらへの参加資格を失うことになります。

共同相続人が相続分の譲受人になった場合は、従前の自己の相続分と新たに取得した相続分を合計した相続分を有する相続人として遺産分割に加わることになります。

 

もう一つ説明しておくべき効果として、相続財産に債務が含まれていた場合があります。

相続分は、債務も含めた相続財産全体に対する持分なので、その譲渡には債務も当然に含まれます。

しかし、譲渡に対抗要件が不要である以上、債権者の同意なく債務を他者に移転することになるため、債権者の保護に欠けるところがあります。

そのため、対内的には譲渡人から譲受人に債務が移転しますが、対外的、すなわち債権者に対しては、譲渡人と譲受人の両方が、併存的に債務を負うと解されています。

 

 

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2017.03.10

2 遺産の共有 相続分(2)

まずは、相続分の譲渡の方法についてお話しします。

 

相続分の譲渡は、まったくの第三者はもちろん、他の共同相続人にも譲渡することができます。

また、譲渡の対象は、自己の相続分全てでなくともよく、一部の譲渡も認められています。

 

他の一般的な譲渡と同じく、当事者間の合意だけで譲渡は成立します。

もっとも、一般的な譲渡の場合、当事者以外の第三者に権利を主張するためには、いわゆる対抗要件を必要としており、不動産の場合は登記が必要です。(民法177条)

しかし、相続分の譲渡に関しては、契約等の各種の個別的な権利変動とは別の問題であるとして、第三者に対してもこの対抗要件は不要であるとされています。

したがって、相続分の譲渡は合意だけで有効に成立し、他の共同相続人や、その他の第三者にその権利を主張することができるのです。

 

 

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2017.03.10

1 遺産の共有 相続分(1)

相続財産全体に対する割合的な持分のことを「相続分」と呼びます。

民法は、まだ遺産が分割される前の状態でも、この相続分を第三者に譲渡することを認めています。

相続分の譲渡を認めることで、遺産分割に時間がかかる場合でも、相続人が相続による経済的利益を早期に得ることができるようにしているのです。

また、分割前に共同相続人の一人が相続分を譲渡した場合に、他の相続人はその価額及び費用を償還してこれを取り戻すことができる、とされています。(民法905条)

これは、相続分の譲渡には上記のメリットがある反面、相続財産をめぐる法律関係に第三者が入ることによって生じうるトラブルを防ぐ必要があるため、このような規定が置かれています。

 

次回から、この相続分の譲渡について詳しくお話ししていきます。

 

 

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2017.02.23

遺贈(19)負担付遺贈②

負担付遺贈は、遺言者の死亡によって効力を生じます。

 

受遺者は、負担付遺贈を承認すると、負担を履行する義務を負います。

受遺者は、遺贈の目的価額を越えない限度でのみ、負担した義務を履行する義務を負います(1002条1項)。

受遺者が負担付遺贈を放棄した場合には、受益者が受遺者に代わって、遺贈を受けることができます(1002条2項)。

 

負担付遺贈を承認したにも関わらず、負担が履行されない場合、遺言者の相続人や遺言執行者は、受遺者に対して負担の履行を求めることができます。

相続人は、相当の期間を定めて履行を催告することができ、期間内に履行されない時は、家庭裁判所に負担付遺贈の取り消しを請求することができます(1027条)。

 

 

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2017.02.23

遺贈(18)負担付遺贈①

特殊な遺贈として、負担付遺贈というものがあります。

例えば、「Aに1000万円を与える。その代わり、Aは私の父Bを扶養すること」や、「Aに1000万円を与えるが、そのうち200万円をBに与えること」のように、受遺者に一定の給付義務を課して、特定遺贈や包括遺贈を行うことを負担付遺贈と呼びます。

遺言者は、このような遺贈を行うことができます。

この時に、負担の履行によって利益を得る者を受益者と呼びます。

 

「負担」は、受遺者の行為(作為・不作為)を内容とします。

ただし、公序良俗に反することや、一身専属的な行為であって、法律上強制できないこと(再婚しないこと等)を内容とする負担は無効となります。

負担が無効である場合に、遺贈自体が無効となるかどうかは、遺言の解釈によりますが、多くの場合は、遺言者は遺贈しなかったであろうと考えられるため、遺贈自体が無効となります。

 

 

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2017.02.23

遺贈(17)信託と後継ぎ遺贈

前回お話しした通り、後継ぎ遺贈は、その効力が確実とは言えません。

しかし、このような効力を有する財産処分は、遺族の生活保障や、個人企業経営者による後継者確保の手段として需要があります。

 

そこで、このような財産処分を行う方法として、信託法に、後継ぎ遺贈に類似した、受益者連続の信託というものがあります(信託法91条)。

信託とは、委託者が信託行為(契約・遺言)によって、他人(受託者)に一定の財産(信託財産)の管理処分権を与え、委託者の定めた信託目的に従って、受託者が受益者のために信託財産の管理や処分を行う法律関係をいいます。

これを利用することで、例えば、自己の土地・家屋を信託財産とする信託を遺言によって設定し、妻の生存中は妻を受益者として家屋に居住し続けられるようにし、妻死亡時には子が受益権を取得するという形の信託を設定することで、後継ぎ遺贈のような状態を実現することができます。

 

もっとも、このような信託は、存続期間が制限されており、信託の受益権の取得も当然に遺留分減殺請求の対象となっていることには注意が必要です。

 

 

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2017.02.23

遺贈(16)後継ぎ遺贈①

「私(X)の所有する甲不動産をAに与える。Aの死亡後は、甲不動産をBに与える」という旨の遺贈を考えてみましょう。

このような遺贈は、Aの死亡を終期とする、Aへの期限付遺贈と、Aの死亡を始期とする、Bへの期限付遺贈の2つの遺贈を含みます。

A死亡時に、XからAへの遺贈の効力は消滅し、甲不動産はAの相続財産にはならずに、XからBへ遺贈されることになります。

このような遺贈を、後継ぎ遺贈と呼びます。

愛着のある土地であるほど、もしくは由緒ある物であるほど、このような後継ぎ遺贈をしたくなってくるものです。

 

しかし、このような遺贈は確実に実現されるかどうかはわかりません。

後継ぎ遺贈としてAが取得したけれども、Aの遺言書ではCに相続させるとなっていた場合、もしくはAの生前に甲不動産がAからDに売却されてしまった場合、後継ぎ遺贈の遺言者の目的は達成されないことになります。

判例上、きちんと判断された例があまりなく、後継ぎ遺贈を有効とも無効とも言い難いところがあります。

 

 

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2017.02.23

5 遺贈(15)条件・期限付き遺贈②

通常の遺贈は、遺言者の死亡時に効力が発生しますが、遺贈に条件や期限がつけられている場合は、条件が成就した時や期限の到来した時にはじめて遺贈の効力が生じます(985条2項)。

条件が成就したり、期限が到来するまでは、受遺者は遺贈義務者に対して履行を請求することはできません。

 

また、停止条件付遺贈では、受遺者が条件の成就前に死亡した時は、遺言者が別段の意思を表示していない限り、遺贈の効力は失効します(994条2項)。

相続人とは異なり、代襲相続は発生しません。

 

受遺者は、履行期が到来するまでの間、遺贈義務者に対して相当の担保を請求することができます(991条)。

 

 

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2017.02.23

4 遺贈(14)条件・期限付き遺贈①

今回からは、少し特殊な遺贈についてお話ししていきます。

 

通常の遺贈は、遺言者の死亡と同時に効力が発生しますが、遺言者は、特定遺贈または包括遺贈をするにあたり、なにかしらの事実が実現したら、効力が発生するように定めることができます(985条2項)。

これを、停止条件付遺贈と呼びます。

また、遺贈に始期や終期を定めることもできます。

これを期限付遺贈と呼びます。

例えば、「私が死んで1周忌が来たら、Aに甲土地を遺贈する」というのは始期付遺贈となります。

「Aに甲土地を遺贈する。もしAが遺贈を放棄した場合には、Bに甲土地を遺贈する」というのは、Aへの単純な遺贈と、Bへの停止条件付遺贈を意味します。

 

このように、遺言者は、遺言によって遺贈に条件や期限を定めることができるのです。

 

 

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