弁護士コラム

2017.04.20

(3) 遺産分割(19) 遺産分割の効力⑤

遺産分割の結果、不動産の共有持分等は、その不動産を単独相続することになった共同相続人に移ります。

この時、共同相続人は、他の共同相続人に対し、売買の売主と同じく、相続分に応じた担保責任を負います(民法911条)。

分割によって、瑕疵ある財産を取得した相続人と、そうでない相続人との間の公平を図る見地から、民法は、このような規定を置いています。

 

この共同相続人の担保責任ですが、売主の担保責任の規定がいくつか準用されます。

他人物売買に関する561条、563条、数量不足に関する565条、用益権や担保権による制限に関する566条、567条、隠れた瑕疵に関する570条が準用されます。

これに対して、債権については、912条に明文の規定があるため、569条は準用されません。

また、強制競売に関する568条も、場面が違うため準用の問題とはなりません。

 

このように、遺産分割の場合にも、共同相続人は、売買における売主と同じ担保責任を負うのです。

 

 

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投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2017.04.20

(2) 遺産分割(18) 遺産分割の効力④

前回と前々回お話ししたように、遺産分割においては、その遡及効が制限される傾向にあります。

 

これに対して、相続放棄後の第三者との関係では、民法939条の遡及効を絶対的なものとして、第三者を無権利者とする構成を取るのが判例です。

この違いは、909条が、その但し書きで、明文で遺産分割前の第三者との関係を制限していることを理由とし、その趣旨を遺産分割後の第三者にも及ぼしているのだと言われています。

また、相続放棄の場合は、その旨の登記はなされないのが通常であるのに対し、遺産分割の場合は、結果を登記するのが普通であるので、あたかも二重譲渡と類似した利益状況にあることも、理由として挙げられます。

 

 

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2017.04.20

(1) 遺産分割(17) 遺産分割の効力③

前回、遺産分割前に不動産の持分が譲渡された場合の話をしましたが、遺産分割後、Aが単独で不動産を相続することになった後、その旨の登記がなされる前に、別の共同相続人であるBが第三者Cに共有持分を譲渡してしまった場合の関係はどうなるでしょうか。

 

民法909条の遡及効を重視すれば、遺産分割の結果、相続開始の時にさかのぼってAが単独で不動産を所有していたことになるので、Bは無権利者となり、そのような無権利者から譲渡を受けたCは、共有持分をAに主張できないことも考えられます。

 

しかし、判例は、そうではなく、Aは登記がなければ第三者Cに対抗できないとします。

すなわち、遺産分割はたしかに相続開始時に効力がさかのぼるものではあるが、第三者Cとの関係では、Bが相続時にいったん取得した権利が遺産分割によって、BからAに移転したのと実質的に異ならないとして、登記がなければ、第三者Cに対抗できないとしています。

いわば、BからA・Cへの二重譲渡に近い関係にあるとして、登記を要求するのです。

 

 

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2017.04.14

20 遺産分割(16) 遺産分割の効力②

遺産分割の結果、単独所有となった不動産については、その旨の登記をすることになります。

では、遺産分割がなされた後、その旨の登記をする前に、持分を譲渡され譲受人(第三者)が登記を備えてしまった場合にはどうなるでしょうか。

 

遺産分割前に譲渡された第三者は、前回お話しした民法909条ただし書きによって、遺産分割の結果単独所有となった者に対し、共有持分権を対抗できます。

もっとも、この場合に第三者が保護されるのは、上記問題提起のように、第三者が登記を備えている場合に限られるとされています。

これは、権利保護資格要件などと呼ばれたりしますが、保護されたければ登記を備える程度の努力はしておくように、という理由によります。

 

 

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2017.04.14

19 遺産分割(15) 遺産分割の効力①

被相続人の財産は、遺産共有の状態を経て、遺産分割によって特定の相続人に帰属するというプロセスをたどります。

しかし、民法は、遺産分割は相続開始時にさかのぼってその効力を生じるとしています(民法909条)。

したがって、遺産分割の結果、各相続人は、相続開始時に被相続人から直接特定の権利を取得したものと擬制されます。

 

このような擬制によって、相続開始時から各財産は特定の相続人が単独で取得していたこととなるため、遺産分割後には、特定の財産を取得した相続人以外の共同相続人は、当該財産について持分を有していなかったことになります。

その結果、遺産分割前に相続人の一人から持分を譲渡されたりした第三者は、いわば無権利者から取得したことになるため、その権利を主張できなくなります。

そのため、上記のような遡及効は、第三者には及ばないとして例外が設けられています(909条ただし書き)。

 

 

 

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2017.04.14

18 遺産分割(14)遺産分割手続きの当事者④

②協議・審判後に、認知によって新たに相続人になった者の存在が判明した場合

 

相続開始後に死後認知の訴えや、遺言による認知によって、共同相続人に加わったが、その者が遺産の分割を請求しようとした時にすでに分割が行われていた場合には、その者は具体的相続分に応じた価額による支払いの請求権を有します(民法910条)。

被認知者の相続利益を保護する一方で、分割の安定性を確保するために、協議・審判を無効とせずに、価額での支払いによって解決を図っています。

 

 

③協議・審判後に、当初からの共同相続人の存在が判明した場合

 

この場合には、上記②の場合と異なり、遺産分割協議ないし審判そのものが無効となります。

死後認知等により相続開始後に新たに相続人になった者がいた場合は、遺産分割の時点ではその相続人は存在していないため、分割を維持することに理由がありますが、③の場合には、そもそも遺産分割の時点で存在していたにも関わらず、協議・審判に参加できなかったのであるから、重要な利益が害されているとして、分割を無効として再分割を行うことの要請が働きます。

 

 

 

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2017.04.14

17 遺産分割(13)遺産分割手続きの当事者③

分割後に当事者の過不足が判明した場合として、①相続人の一部に無資格者がいた場合、逆に資格者が判明した場合として、②相続開始後に認知によって新たに相続人になった者がいた場合、③分割後に当初からの相続人であった者の存在が判明した場合、が考えられます。

 

 

①一部の者の無資格が、協議・審判後に判明した場合

この場合、当該協議ないし審判全体を無効として再度行うことも考えられますが、分割の法的安定性を考慮し、原則として、無資格者に分割された部分のみを無効として再分割を行い、無資格者がいなければ分割の結果が大きく異なったであろう特段の事情がある時にのみ、全部を無効として再分割を行うというのが判例の考え方です。

 

 

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2017.04.14

16 遺産分割(12)遺産分割手続きの当事者②

相続人の一部が行方不明の場合、利害関係人(他の共同相続人など)の請求によって、家庭裁判所が不在者財産管理人(民法25条)を選任して、家庭裁判所の許可を得て、遺産分割を行うことになります。

 

 

不在者財産管理人が選任されて遺産分割の協議ないし審判がされた後に、相続人である行方不明者が相続開始後に死亡していたことが判明した場合も、当該協議・審判は有効であって、死亡が判明した者の相続人がその地位を承継することになります。

 

行方不明者が、相続開始前に死亡していたことが判明した場合にも、特段の事情がない限り、当該協議・審判は有効です。

代襲相続人がいれば、その者が協議・審判に従って分割財産を取得し、代襲相続人がいなければ、当該財産のみを再分割することとなります。

 

 

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2017.04.11

15 遺産分割(11)遺産分割手続きの当事者①

遺産分割手続きに参加する当事者は、

①共同相続人(民法907条)

共同相続人に準じるものとして

②割合的包括受遺者(990条)

③相続分の譲受人(905条)

が含まれます。

また、遺言執行者が指定されている場合には、遺言執行者も分割に関与します(1012条)。

 

このうち、特に①共同相続人にかかわる問題として行方不明者がいる場合や、分割後に当事者の過不足が判明した場合などの問題について、次回以降お話しいたします。

 

 

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2017.04.11

14 遺産分割(10)遺産分割手続きの対象③

遺産の売却代金や、火災等によって滅失した場合の損害賠償債権など、遺産の代わりとなる財産のことを、代償財産と呼びます。

 

代償財産についても、判例は、共同相続人全員によって他に売却された財産は、遺産分割の対象たる相続財産から逸出するとして、その売却代金は、特段の事情がない限り、相続財産には加えられず、共同相続人が各持分に応じて個々にこれを分割するとして、分割単独債権となるとしています。

 

すなわち、賃料等の果実と同じく、分割手続きを待たずに当然に分割されることとなります。

また、果実と同じく、共同相続人全員の合意があれば、これを対象とすることができる(特段の事情)のも同じです。

 

 

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