弁護士コラム

2016.06.10

(2)相続人の一部が行方不明の場合

 

相続人の一部が行方不明の場合、利害関係人の請求によって、家庭裁判所が不在者財産管理人を選任して(民法25条)、遺産分割を行うことになります。

ただし、不在者財産管理人が行方不明の相続人を代理して協議による遺産分割をするためには、家庭裁判所の許可が必要です(民法28条)。

 不在者財産管理人が選任されて遺産分割の協議・審判がされた後に、相続人である行方不明者が相続開始後に判明した場合にも、協議・審判は有効で、仮に行方不明者が死亡していた場合、死亡が判明した者の相続人がその地位を承継することになります。

 

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投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.06.10

(1)当事者の範囲

 

遺産分割は相続人全員による協議によって行われます。遺産分割の協議は共同相続人全員の同意が必要なので、相続人全員の同意のない遺産分割協議は無効となります。

 遺産分割の当事者は、①民法907条が規定する「共同相続人」(具体的相続分がなかったとしても当事者となる)のほか、相続人に準ずる者として、②割合的包括受遺者(民法990条)や、③相続分の譲受人(民法905条)が含まれます。また、④遺言執行者(民法1006条)が指定されているときは遺言執行者も遺産分割に関与する(民法1012条)ほか、共同相続人の代理人として遺産分割に参加する者として、⑤共同相続人が制限行為能力者である場合の法定代理人や、⑦共同相続人が行方不明の場合の不在者財産管理人(民法25条)がいます。

 

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2016.06.10

(6)遺産分割における生命保険金

被相続人が亡くなった場合、被相続人が掛けていた生命保険の保険金が支払われることになります。この被相続人の生命保険金は、相続財産には含まれず、その生命保険金の受取人固有の財産となります。

従って、生命保険金は遺産分割の対象財産にもならないということになります。

生命保険金は、非常に高額になることがあるので、生命保険金が、その被相続人の相続財産の総額よりも高額になるということも珍しくはありません。

そのような場合でも、遺産分割において全く考慮されないとすると、生命保険金の受取人となった相続人とそれ以外の相続人との間に著しい不公平が生じる可能性があります。

そこで、「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合」がある場合においては、生命保険金は、特別受益による持ち戻しの対象となると解釈されています。

よって、上記のような著しい不公平があるといえるような場合においては、生命保険金も、遺産分割において考慮されることがあるということになります。

 

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2016.06.10

(5)相続財産からの果実の取り扱い

遺産分割において、相続開始後から遺産分割までの間に発生した相続財産からの果実を遺産分割の対象とすべきか否かという問題があります。

法律上の「果実」とは、その物から生じる利益・収益のことを指しています。法律上の果実には、天然果実と法定果実の二種類があります。

天然果実とは、物の用法に従い収取する産出物のことです(民法88条1項)。例えば、木にブドウがなった、飼い犬に子供が生まれた、という場合、このブドウ、子供、などを指します。法定果実とは,物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物のことです(民法同条2項)。例えば、不動産を賃貸したときにとる地代や家賃、借金の利息などがあります。

 相続開始後から遺産分割までの間に生じた果実は、相続財産とは別個の財産であり、共同相続人が相続分に応じて個別に取得する財産であると解釈されています。さらに、この共同相続人が個別に取得した相続財産からの果実は、遺産分割の影響を受けないと解釈されています。

つまり、相続開始後から遺産分割までの間に生じた果実は、遺産分割の対象とはならないということです。

したがって、相続開始後から遺産分割までの間に生じた果実は、各共同相続人がそれぞれの法定相続分に応じて個別に取得することとなります。

 

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2016.06.10

(4)相続財産の代償財産の取り扱い

実務上、遺産分割の対象財産が確定する基準時は、遺産分割時となっています。

しかし、相続開始時には存在していたけれども、遺産分割時には、その財産がすでに存在しなくなっている場合もあり得るでしょう。具体的には、相続開始後に、相続人が相続財産を処分してしまった場合や、何らかの事情により、相続財産が滅失してしまったような場合です。

このような場合、遺産分割時を基準とするならば、処分あるいは滅失してしまった財産は、遺産分割の対象とはならないということになります。

もっとも、その相続財産が消滅して遺産分割の対象財産ではなくなったとしても、消滅したことによって、別の財産的利益が発生することはあります。例えば、相続開始後に相続人によって売却されてしまった財産の売買代金や、火災によって相続財産である不動産等が滅失してしまったことによって発生した火災保険金などです。

このように,相続開始時に存在していた相続財産を処分することによって得られた財産を「代償財産」といい、この代償財産は、原則として遺産分割の対象財産にならないとされています。

 ただし、共同相続人全員によって遺産分割の対象に含める旨の合意がなされている場合には、遺産分割の対象となります。

 

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2016.06.10

(3)遺産分割の対象財産確定の基準時

遺産分割の紛争を解決するためには、そもそも遺産分割の対象財産の範囲やその価額評価を確定させておかなければなりません。

遺産分割を行う時期によっては、財産の存否が生じてしまっている場合や、財産の評価についても変更が生ずる場合があります。

そこで、どの時点における財産を遺産分割の対象とし、評価するのかということが問題になってきます。

この問題については、基準時を相続開始時とする見解と基準時を遺産分割時とする見解とがありますが、実務においては、遺産分割時説がとられています。したがって、遺産分割審判がなされる場合、遺産分割対象財産の範囲の確定時期は、その審判の時となります。

 

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2016.06.10

(2)遺産分割の対象財産の評価の基準時

遺産分割において、大きな問題となるのは、その遺産分割の対象財産とされた財産の価額をどのように評価するのかという点です。

遺産分割対象財産の価額を定めるに当たって、最初に問題となるのが、その算定の基準時の問題です。この「基準時の問題」というのは、どの時点をもって、遺産分割対象財産の価額を定めるのかということです。

これに関しては諸説ありますが、遺産分割審判時を評価の基準時とすることが通常とされています。

 

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2016.06.10

(1)遺産分割の対象財産の範囲

相続が開始されると、被相続人が有していた一切の権利義務が、相続財産として相続人に承継されます。

だからといって、その相続財産のすべてが遺産分割の対象となるわけではありません。相続財産の内容・性質によっては、遺産分割の対象とならないものも中には存在します。

 遺産分割の対象財産とならないものとしては、可分債権というものがあります。可分債権とは、分けることができる(=可分)ものの給付を目的とする債権のことで、例えば、金銭債権や預貯金などです。

判例によると、金銭債権のような可分債権は相続開始と同時に法律上当然に分割されて、各共同相続人に相続分に応じた分割単独債権として帰属するとされており、この考え方によれば可分債権を遺産分割の対象とする必要はありません。

ただし、遺産分割において、相続人間で預貯金等金銭債権を遺産分割の対象財産に加えることは可能で、現金や動産、不動産は遺産分割の対象財産となります。

 

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2016.06.07

(5)代償分割

代償分割とは、換価分割と同様に、現実の金銭で公平を図ろうという方法です。

換価分割と異なるのは、相続財産を換価処分するというものではなく、ある共同相続人が相続財産を取得する、その他の相続人にその相続分に応じた金銭を支払うなどの方法で公平を図ろうという点です。

例えば、共同相続人として子AとBがおり、相続財産として価値1000万円の土地があったと仮定します。

この場合、現物分割であれば、この土地をAとBとがそれぞれ2分の1ずつの持ち分で共有することになるでしょうし、換価分割であれば、土地を処分して得た1000万円の金銭を、AとBとで500万円ずつ取得することになるでしょう。

しかし、例えば、Aがこの土地に住んでいる等、どうしても土地を利用取得したいという場合、共有であれば不便ですし、ましてや金銭に換価もできません。

そこで、換価分割したならばBが取得したであろう500万円については、AがBに対して代償として支払うということで、Aが土地の所有権の全部を取得するという方法が、この代償分割という方法になります。

 

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2016.06.07

(4)換価分割

換価分割とは、相続財産を金銭に換えて、その金銭を共同相続人間で分配するという方法のことをいいます。

現物分割や個別分割で土地等を個別に分割するとしても、その土地の価額が不釣り合いである等、相続人の間で不公平が生ずる可能性があります。

しかし、相続財産を換価して金銭にし、それを分配するという方法を取れば、どのくらいの価値のものが分配されるのか明確で、分配の公平もある程度保障されます。

そのため、相続財産が、現物分割では利用の現状に沿わず、加えて、個別分割では公平に分割できないような財産が含まれている場合には、この換価分割が用いられることがあります。

 

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