弁護士コラム

2016.12.09

11 遺留分(17)遺留分減殺請求権の消滅②

前回お話しした1042条の期間制限の内、「相続開始の時から10年を経過したとき」はわかりやすいかと思います。

 

「減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時」とは、単に被相続人の財産の贈与があったことを知っただけではなく、その贈与が減殺すべきものであることまでを知る必要があるとされています。

したがって、例えば、贈与があったことは知っていたが、それが無効であり、減殺の対象となる有効な贈与とは思っていなかったというような場合には、消滅時効が進行しないことになります。

しかし、そうであるならば、無効を主張する限り、遺留分減殺請求権は消滅せず、民法が期間を制限した意味がなくなります。

 

そこで判例は、被相続人の財産のほとんど全部が贈与されていることを認識している場合については、事実上及び法律上の根拠をもって、無効を信じているため遺留分減殺請求権を行使しなかったことがもっともであるといえる特段の事情が認められない限り、贈与を減殺できることを知っていたものと推認されるとしています。

 

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投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.12.09

10 遺留分(16)遺留分減殺請求権の消滅①

遺留分減殺請求権は、相続開始の時に発生するが、以下の事情によって消滅します。

①相続放棄

②遺留分の放棄

③遺留分減殺請求権の放棄

④1042条の規定する期間制限

 

遺留分そのものや、遺留分減殺請求権を放棄した場合、当然に遺留分減殺請求権は消滅します。

また、遺留分減殺請求は相続人に認められる権利なので、相続を放棄した場合も減殺請求権は消滅します。

 

1042条は、期間制限として2つ規定しています。

1つ目は、「遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する」とされています。

2つ目は、「相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする」と規定されています。

1つ目に該当しなくても、2つ目に該当する場合には、もはや減殺請求を行うことはできません。

 

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2016.12.05

9 遺留分(15)遺留分減殺請求の効果②

 

今回は減殺請求をする前に、贈与の目的物が第三者に譲渡されていた場合についてお話しします。

 

第三者に譲渡されていた場合、被相続人から贈与を受けた人に対して減殺請求権が行使された時は、価額による弁償がなされます。(1040条)

もし、譲渡を受けた第三者が、遺留分を侵害すること知っていた場合には、その者に対しても減殺請求権を行使することが可能で、現物の返還を請求することができます。(同条1項但し書き)

この場合も、その第三者は価額による弁償をすることで返還を免れることができます。

(1041条2項)

遺贈の目的物が譲渡された場合も同様です。

 

では反対に、減殺請求をした後に、登記を取得しない間に、相手方がその不動産を第三者に譲渡し、登記を移転してしまった場合には、どうでしょうか。

この場合、判例によると、177条の対抗問題として扱われ、登記を先に備えた方が権利者であるとしています。

 

 

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2016.12.05

8 遺留分(14)遺留分減殺請求の効果①

遺留分減殺請求を行った場合、目的となった遺贈や贈与の全額が減殺された時には、相手方は目的物を返還し、減殺をかけた遺留分権利者の単独所有となります。

減殺が一部の額だけである場合には、相手方と共有状態になります。

 

減殺請求の結果、請求権者の単独所有になった場合、相手方は目的物を返還する義務を負います。(1036条)

原則として原物返還ですが、価額による弁償をすることで、返還義務を免れることもできます。(1041条)

減殺の結果、共有状態となった場合も、相手方は価額による弁償をすることで請求権者との共有状態を解消することができることになります。

 

価額弁償については、単に価額の弁償の意思表示をしただけでは足りず、現実に弁償をするか、または弁済の提供と言われる行為をする必要があります。

また、価額の算定は、贈与時や相続開始時ではなく、現実に弁償がされる時を基準時とすると判例は判断しています。

 

 

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2016.12.05

7 遺留分(13)遺留分減殺請求の方法③

今回は減殺の対象ではなく、遺留分権利者が複数いた場合についてお話しします。

 

遺留分権利者が複数いる場合、各自の侵害額の割合に応じて、遺贈・贈与の順番に減殺をしていくこととなります。(1037条)

例えば、300万円の侵害額のAと、200万円の侵害額のBがいて、300万円の甲遺贈と、1000万円の乙贈与があった場合を考えてください。

この場合、甲についてAは180万円、Bは120万円の減殺をし、乙についてAは120万円、Bは80万円の減殺をすることになります。

 

もし、Aが先に甲遺贈に300万円全額の減殺を行えるとすると、Bは甲遺贈について減殺ができず、乙贈与に対し、200万円の減殺を行うことになりますが、これはAB2人の遺留分権利者の公平を害することになります。

なぜかというと、遺贈は相続開始時の話なので、確実に減殺することができますが、贈与は過去の話なので、贈与を受けた人がすでに無資力になっているリスクがあるためです。

このようなリスクを同じ遺留分権利者であるABのうちBのみが負うというのは、不公平な結果となるため、各自の侵害額に応じて減殺をしていくと定められているのです。

 

 

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2016.12.05

6 遺留分(12)遺留分減殺請求の方法②

前回遺贈が複数ある場合には、それぞれの価額の割合に応じて減殺されるとお話ししました。

これは、相続人以外の者に対する遺贈の場合であり、相続人に対する遺贈の場合は少し変わります。

判例によると、相続人に対する遺贈が複数ある場合には、受遺者の遺留分を超える部分の割合に応じて減殺するとしています。

これは、減殺された結果、遺贈を受けた相続人が遺留分に満たなくなった場合、減殺の循環が起こる恐れがあるからです。

 

では、遺贈ではなく、複数の贈与がある場合はどうなるでしょうか。

1035条は、「後の贈与」(相続開始時に近い時期の贈与)から順番に「前の贈与」(古い時期の贈与)へと減殺していくことになると定めています。

なお、死因贈与については、遺贈と同じように考えられているため、遺贈の次に減殺の対象となります。

 

 

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2016.11.11

5 遺留分(11)遺留分減殺請求の方法①

では、実際に遺留分減殺請求を行う時の方法についてお話していきます。

 

遺留分減殺請求の行使は、相手方に対する意思表示のみで行うことができます。

必ずしも裁判によって請求する必要はありません。

 

前回の事例では、減殺請求の対象となる贈与は1つだけでしたが、対象が複数ある場合には、減殺請求を行う順番が法律で決められています。

民法1033条は、遺贈をまず減殺し、遺贈を全部減殺しても遺留分侵害額に足りない時に贈与を減殺することができる、と定めています。

遺贈は、相続開始によって効力が生じ、相続財産から支出されるため、相続財産に含まれない贈与よりも、減殺による影響が少ないからです。

 

では、遺贈が複数ある場合、その順番はどのように定められているでしょうか。

1034条は、複数の遺贈について、遺贈者に特段の意思表示がない限り、遺贈の目的物全体についてそれぞれの価額の割合に応じて減殺されるとしています。

Aに対する遺贈が500万円、Bに対する遺贈が1000万円の場合、全体額は合計1500万円なので、遺留分侵害額のうちAに対して3分の1、Bに対して3分の2の割合ずつ減殺を行うことができることになります。

 

 

 

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2016.11.11

4 遺留分(10)遺留分侵害額

遺留分権利者が、被相続人から実際に得た利益(これを純取り分額と呼びます)が遺留分額に達していない時、その差額が遺留分侵害額となります。

ここでいう純取り分額とは、具体的相続分額に特別受益額を加えたものから相続債務負担額を控除したものをいいます。

すなわち、

遺留分侵害額=遺留分額-純取り分額(具体的相続分額+特別受益額-相続債務負担額)

となります。

 

これだけではわかりにくいと思いますので、具体例を挙げます。

被相続人Xは相続開始時に、1200万円の不動産、1000万円の預金、1000万円の債務を有していました。

Xは、唯一の相続人である子のAに対し、10年前に婚姻費用として600万円を贈与しており、遺言の中で、Xの友人であるBに不動産を遺贈する旨を記載していました。

この場合、まず遺留分算定の基礎となる財産は、相続開始時の財産(遺贈を含む)+贈与額-債務額なので、

(1000万円+1200万円)+600万円-1000万円=1800万円となります。

次に、遺留分額は、基礎となる財産×総体的遺留分率×法定相続分率で計算します。なお、総体的遺留分率は、相続人が子どもなので2分の1、相続人が1人なので法定相続分率はそのまま1です。したがって、

1800万円×2分の1×1=900万円となります。

最後に遺留分侵害額は、遺留分額-純取り分額(具体的相続分額+特別受益-相続債務負担額)です。具体的相続分額は、遺贈を抜いた1000万円、特別受益が600万円なので、

900万円-(1000万円+600万円-1000万円)=300万円となります。

 

このように、300万円分遺留分が侵害されていることになるので、1200万円の不動産を遺贈されたBに対して300万円の限度で遺留分減殺請求を行えるというわけです。

 

 

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2016.11.11

3 遺留分(9)遺留分額の算定②

各相続人の遺留分額は、前回お話しした算定の基礎となる財産に各人の遺留分率を乗じた額となります。

各人の遺留分率は、総体的遺留分率に法定相続分率を乗じて算定されます。

総体的遺留分率は、直系尊属のみが相続人の場合には3分の1、それ以外は2分の1です。

以上を計算式で表せば、

遺留分額=遺留分の算定の基礎となる財産の額×相対的遺留分額×法定相続分率

となるわけです。

 

例えば、基礎となる財産が1000万円、相続人が妻と子供2人の場合、

妻の遺留分額=1000万円×2分の1×2分の1=250万円

子の遺留分額=1000万円×2分の1×4分の1=125万円

となります。

 

このようにして算定される遺留分額を侵害されていれば、遺留分減殺請求を行うことができます。

侵害されているかどうかの判断は、次回お話しいたします。

 

 

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2016.11.11

2 遺留分(8)遺留分額の算定①

さて今回からは、各相続人に遺留分が存在するかどうか、遺留分額の算定についてお話ししていきます。

 

各相続人の遺留分額は、遺留分算定の基礎となる財産の2分の1(直系尊属のみが相続人の場合には3分の1)を各相続人の相続分で割ったものとなります。(1028条、1044条、900条、901条)

遺留分算定の基礎となる財産とは、1029条で規定されており、相続開始時の財産(積極財産)+贈与-債務によって決まります。

相続開始時の財産には、遺贈や死因贈与の対象にされている物も含まれます。

贈与には、すでにお話しした通り、相続人以外の者への贈与も参入されます。

また、具体的相続分と異なり、寄与分については考慮されません。

 

債務として控除される対象は、脾臓族認の所得税のような公法上の債務も含まれます。

一方で、相続税や相続財産の管理費用や遺言執行に関する費用などは、控除の対象となりません。

その他、保証債務については、将来支払うかどうか不明であり、その額も不確実であることを理由として控除されないとした判例があります。

 

 

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