弁護士コラム

2019.04.28

寄与行為の具体例

寄与行為の具体的な例をご説明します。
寄与行為として認められるのは「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、若しくは被相続人の療養看護」とされており、これらはそれぞれ以下の種類に分類されます。

(1)家業従事型
家業従事型とは、「被相続人の事業に関する労務の提供」により、被相続人の相続財産の維持又は増加に貢献することをいいます。
原則として無償で労働力を提供していたことが必要とされ、被相続人から給与や報酬を受けていた場合は寄与行為として認められません。
労務の提供を一時期のみでなく一定期間継続して行ったという継続性が必要とされています。

(2)出資型
出資型とは、「被相続人の事業に関する財産上の給付」により、被相続人の相続財産の維持又は増加に貢献することをいいます。
被相続人が経営していた事業への資金援助や、事業に使用する不動産の援助等がこれに該当します。
なお、事業に関する財産の給付以外にも、被相続人が生活上必要な不動産を購入するにあたっての資産の援助等もこれに該当すると考えられる場合があります。

(3)療養看護型
療養看護型は、被相続人の療養看護を行い、被相続人が看護費用等の支出を免れることで、被相続人の相続財産の維持に貢献することをいいます。
被相続人との関係上で、通常期待される程度を越えた療養看護を行ったと認められることが必要です。また、仕事の傍ら介護を行っていたという程度ではなく、介護に専念していたという専従性が必要であると考えられています。


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投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2019.04.27

寄与分の成立要件

民法では、寄与分が成立する要件として以下の3点が定められています。
(1)寄与行為が存在すること
寄与分が成立するには、まず行った行為が「寄与行為である」と認められる必要があります。寄与行為として認められるのは、下記のいずれかです。

・被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付
・被相続人の療養看護

(2)被相続人の財産の維持又は増加があったこと
寄与分は、上記(1)の行為によって被相続人の財産が維持又は増加した場合に認められます。客観的に見て、寄与行為と財産の維持又は増加との間に因果関係があること、つまり寄与行為を行ったことによって財産が維持・増加されたと証明できることが必要です。

(3)特別の寄与であること
寄与分が認められるためには、寄与行為が「特別の寄与」であると認められることが必要です。「特別の寄与」とは、相続人と被相続人との身分関係において通常期待される程度を超えた貢献をすることを指します。

民法では夫婦間の協力扶助義務、直系血族及び兄弟姉妹の扶養義務、及び直系血族及び同居の親族の相互扶助義務というものが定められており、親族間で支え合うことは当然の前提とされています。

そのため、相続人が被相続人に対して行った寄与行為がこの当然の範囲内であると判断される場合は、その行為が「特別の寄与行為」であると認められません。
例えば、被相続人の妻が「15年間にわたり夫の介護を行った」として寄与分を主張しても、それが夫婦間の当然の協力扶助範囲内であると判断され、寄与行為として認められない場合もあるのです。


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投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2019.04.26

寄与分ってなに?

「寄与分」とは、被相続人の生前に、その財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人と、他の相続人との間で公平を図るために定められた制度です。
被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をすることを「寄与行為」といいます。

相続人の中に寄与行為を行った者がいる場合、相続財産の一定額が「寄与分」として控除されます。そして、控除された相続財産を相続人間で遺産分割した上で、寄与行為を行った相続人は自らの相続分に加えて寄与分の財産を受け取ることができるのです。

寄与分の制度の対象はこれまで法定相続人のみとされ、相続人以外の者がこれに該当する行為を行ったとしても寄与分を受け取ることができませんでした。

しかし、令和元年7月施行の民法改正により、相続人以外の、例えば被相続人の知人や内縁の妻等がこれに該当する行為を行った場合、「特別の寄与」として相続人に対して「特別寄与料」を請求することが認められるようになりました。

寄与分は遺産分割協議や家庭裁判所での調停において定めるものであり、寄与行為を行った者が自ら寄与分の主張をする必要があります。よって、被相続人が遺言によって特定の者に対して「寄与分として遺産の8割を与える」「寄与分として土地を与える」といったように寄与分を定めることはできません。

寄与行為の主張をする者は、遺産分割協議や調停において他の相続人の合意を得ることができれば寄与分を受けることができますが、協議や調停でも決着がつかない場合、寄与分を求める審判の申立てをする必要があります。


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2019.04.25

信託銀行等が扱う遺言信託とは?

遺言信託には、「遺言によって信託の設定を行う」という意味の他に、信託銀行等が取り扱う「遺言の作成と執行に関する一連の関連業務を行うサービス」という意味を指す場合があります。
近年はこのサービスとしての遺言信託が普及しており、信託銀行等自らこれを遺言信託と呼ぶこともあるため、世間一般的に認識されている遺言信託という言葉はこのサービスとしての遺言信託を指すことが多いです。

このサービスとしての遺言信託は、「遺言によって信託の設定を行う」という意味の法的な遺言信託とは全く性質が異なります。

信託銀行等が取り扱う遺言信託は、遺言書の作成から保管までをサポートしたり、遺言者の死亡後に遺言執行者として遺言内容を執行したりと、多岐にわたる幅広いサービスを行っています。

また、預貯金の名義変更や不動産の相続登記、相続税申告など、相続発生後の様々な手続きを代行する場合もあります。

このサービスとしての遺言信託は、信託銀行等の商品であることから報酬が必要となり、「相続財産の相続税評価額の〇%」といった価格設定がなされている場合が多いです。
報酬が高額になるケースも多いため、多額の相続財産を所有している人向けの相続サービスであるともいえます。


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2019.04.24

遺言信託の具体例

遺言信託がどのように行われるか、具体例を見てみましょう。

~具体例~ 
「自分の死後に、1人残される子供に遺産を全て遺したい。しかし、子供がまだ幼いため、多額の遺産を管理することは難しい。」

上記のような場合、被相続人は自分の遺産の管理を信頼できる第三者に託し、自分の死後も子供に生活費等を定期的に支給するよう、遺言によって信託を設定します。
このとき、被相続人を「委託者」、遺産管理をする第三者を「受託者」、それによって利益を受ける子供を「受益者」といいます。

まず、委託者は遺産を管理する受託者を信頼できる人物から選定し、自分の遺産を「信託財産」として受託者へ移転します。そして、相続の発生後、受託者は信託財産を管理・運用して受益者の利益を確保します。

受託者には、信託財産を適正に管理・運用する義務があり、万が一その任務を怠ったことにより信託財産に損失が生じた場合は、その責任を負う必要があります。
そのため、受託者の選定は非常に重要であり、親族がふさわしい場合もあれば弁護士が適任の場合もあります。

また、信託財産の管理運用等に専門的な知識や経験を要する場合は、信託会社あるいは信託銀行がふさわしい場合もあります。
遺言信託にかかる費用としては、遺言作成費用、及び受託者の信託財産管理費用、また受託者への報酬を準備する場合にはその報酬等が挙げられます。


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2019.04.23

遺言信託ってなに?

自分の死後、相続人に遺産を遺したいが、相続人がきちんと遺産を管理・運用できるか心配」といったお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
今回はそのようなお悩みをお持ちの方にぜひ知っていただきたい、「遺言信託」についてご説明します。

信託とは、信託を設定する「委託者」が、契約、遺言、公正証書等による意思表示のいずれかの方法により、「受託者」となる特定の者に、一定の目的に従って財産の管理又は処分及びその他目的の達成のために必要な行為をさせることをいいます。(信託法2条1項、3条参照。)
そして、遺言によって信託を設定することを「遺言信託」といいます。

法定相続とは異なる形で、自分の相続人以外(知人・友人等)にも遺産を遺したい場合、相続させる旨の遺言だけではその意思を達成できないことがあります。

すなわち、相続させる旨の遺言だと、被相続人の死亡後は相続人に相続財産が帰属するだけであり、相続後の財産の処分については、相続人が自由に決定できることとなるため、被相続人の望むような財産処分が実現されない可能性があります。

また、相続人が幼少であったり、障害を持っていたり、認知症を患っていたりと、相続人の管理能力が乏しく財産管理が困難な場合もあります。このような場合に、被相続人の意思の実現を可能とする有効な手段が「遺言信託」です。

遺言信託を行うことで、被相続人が信頼できる人物に遺産の管理を託し、相続人に安定的に遺産を帰属させることができます。

遺言を遺すだけでは被相続人の意思の実現が難しい場合でも、遺言信託を行うことによって、被相続人の希望を実現することが可能になるのです。


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2019.04.22

遺留分減殺請求

相続人は、「遺留分とはで述べたとおり、遺留分を侵害された場合には、「遺留分減殺請求」をすることができます。請求の方法に決まりはなく、相手方に書面や口頭で通知したり、家庭裁判所に調停を申し立てる方法等があります。

しかし、注意しなければならないのは、遺留分減殺請求には時効が設けられており、民法によれば、

時効は(1)相続開始の時から10年を経過したとき、

   (2)遺留分の権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年間行使しないとき  と定められています。

よって、時効が完成した場合は遺留分減殺請求を行うことができなくなってしまいます。そのため、相手方に初めて通知をするときは、内容や発送日付を証明することができる「内容証明郵便」などの形をとるのが良いでしょう。また、被相続人が遺した遺言書に、「財産は全て愛人に相続させるため、遺留分については争うな」といった記載があったとしても、遺留分は民法で定められている権利ですので、相続人はこれに従う必要はなく、遺留分減殺請求を行うことができます。被相続人の意思を尊重することも大切ですが、必ずしも遺言書の通りに相続をしなければならないわけではありませんので、一度弁護士などの専門家に相談してみると良いでしょう。

 

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2019.04.19

遺贈・贈与・特別受益

遺留分が侵害されるケースとしては、次に説明する①遺贈や②贈与(生前贈与及び死因贈与)が挙げられます。また、遺贈、死因贈与や一定の場合の生前贈与は、③特別受益として扱われ、遺留分権利者の具体的な遺留分を計算する際に考慮されます。以下に、詳しく見ていくことにします。

①遺贈
遺贈とは遺言によって、無償で自分の財産を他人に与える処分行為を言います。遺言によって財産を受け取る人のことを「受遺者」といいます。遺贈には特定遺贈と包括遺贈の2種類あります。「特定遺贈」とは、遺贈者が持っている財産の中で、特定の財産を受遺者に無償で譲渡することです。特定遺贈の場合、財産が特定されているため、遺言書に誤った記載があると相続ができないことがありますので気を付けましょう。

次に、「包括遺贈」とは、遺贈者が持っている財産に対して、配分割合を定めて受遺者に無償で譲渡することをいいます。包括遺贈の場合は、受遺者も相続人と同じ権利を持つことになるため、プラスとマイナス両方の財産も引き継ぐことになりますので、注意が必要です。

②贈与
贈与とは、当事者(贈与者)の一方が自己の財産を無償で相手方(受贈者)に与えることをいいます。贈与の中には、契約自体は贈与者の生前に行われるが、贈与者の死亡によって効力が発生する「死因贈与」があり、これと区別するために、生前贈与」とも言われます。

贈与では、贈与者と受贈者の認識にズレがないことがきちんと証明できなければなりません。つまり、贈与者は贈与し、受贈者は貰ったと確実に認識している必要があります。贈与契約書などを作成し、贈与があったことをしっかりと証明できるようにしましょう。

③特別受益
特別受益とは、相続人の中で、特定の相続人が受けた特別な利益のことをいい、遺贈(死因贈与を含みます。)及び生前贈与のうち、「婚姻のための贈与」、「養子縁組のための贈与」、「生計の資本としての贈与」を受けた場合に特別な利益であるとみなされます。

しかし、当該贈与が個別事案において特別受益と認定されるか否かは、当該贈与の金額やそれが被相続人の遺産額に占める割合、贈与がなされた趣旨、他の相続人への贈与の有無等、諸般の事情を考慮して、特別な贈与か否かを判断されるため、事例ごとの判断を要します。

例えば、親から会社経営のために長男のみが事業資金を援助してもらった場合は特別受益だと判断される可能性が高く、他方で結婚のための費用や学校の学費については相続人全員が親から出してもらっていた場合等は特別受益に当たらないと判断される場合も多いでしょう。

遺留分権利者が特別受益を受けていた場合は、個別具体的遺留分から控除されてしまうため、贈与が必ず遺留分対策になるとは言えません。

 

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2019.04.18

遺留分とは

「遺留分」とは、被相続人の配偶者や子供など一定の範囲の相続人が相続できる、法律上保障された最低限の取得分のことを言います(民法第1028条)。民法は、相続人の生活保障及び遺産形成に貢献した相続人の潜在的持分の清算という観点から、法定相続人が遺産をできるだけ多く取得できるよう配慮して作られています。しかし、その反面で、被相続人の意思も考慮しなければならないため、遺言や遺贈などの方法で自由に遺産を相続させることができるようにも定められています。

では、親族の中で、遺留分の権利はどこまで保障されているのでしょうか?民法上、遺留分の権利は、①配偶者、②子や孫などの第一順位の血族相続人と③父母や祖父母などの第二順位の血族相続人に保障されています。兄弟姉妹は第三順位の血族相続人ですので、遺留分の権利を有しません。そして、相続人が被相続人の直系尊属のみの場合、遺留分の割合は法定相続分の3分の1になります。その他の場合、つまり相続人に配偶者等の直系尊属以外の相続人もいる場合は、遺留分の割合は法定相続分の2分の1になります。

例えば、亡くなった父親が遺言書を遺しており、「愛人に全財産を相続させる」と記載があった場合は、配偶者であっても、実の子供であっても被相続人の遺産を相続することができません。そのような場合に、遺留分を有する法定相続人が「遺留分」を主張し、愛人に対して遺留分減殺請求をすることができます。

 

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2019.04.17

特別受益の持戻し計算ってどうやるの?

相続人の中に特別受益者がいると認められた場合、「特別受益の持戻し」の計算はどのように行われるのでしょうか。

~具体例~
被相続人の相続財産総額:5,000万円
相続人:配偶者と長男、次男の計3人
特別受益者:長男が被相続人の生前、1,000万円の贈与を受けていた場合

この5,000万円の相続財産を法定相続分通りに分割する場合、各相続人の法定相続分は以下となります。

・配偶者…2分の1(2,500万円)
・長 男…4分の1(1,250万円)
・次 男…4分の1(1,250万円)

しかし、今回の例では長男が生前贈与を受けているため、1,000万円を特別受益分とみなし、特別受益の持戻し計算を行います。

まず、遺産分割の対象となる相続財産総額は、5,000万円に長男の特別受益分1,000万円を加えた6,000万円となります。これを法定相続分通りに分割すると、各相続人の相続分は配偶者が3,000万円、長男と次男は1,500万円ずつとなります。そして、特別受益者である長男の相続分は、法定相続分1,500万円から特別受益分1,000万円を控除された500万円となります。よって、上記の例における各相続人の相続分は以下となります。

・配偶者…3,000万円(6,000万円×2分の1)
・長 男…500万円(6,000万円×4分の1-特別受益分(1,000万円))
・次 男…1,500万円(6,000万円×4分の1)

なお、相続分以上に特別受益があったとしても返金する必要はありません。この場合、特別受益者の具体的相続分がゼロになるだけです。

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