遺産相続ワンストップサービス(弁護士法人菰田総合法律事務所)

遺産相続コラム

相続時精算課税とは?

 

今回は、実際のご相談内容をもとに、「相続時精算課税」についてご説明いたします。

ご相談内容

ご相談に来られたのは、Aさんご夫妻です。

Aさんは、長年金融機関で働いてきましたが、数年前に定年退職し、今はゆっくりとした生活を送っておられるとのことでした。

Aさんのご自宅は、閑静な住宅地にある築37年の一軒家で、住宅ローンは既に返済済みとのことです。
Aさんご夫妻は持病等もありませんが、ご自宅が坂の上にあり、2階建てであるため、最近は自宅に帰る際に坂道を上ることや、自宅の階段の上り下りもきつくなってきたそうです。

そこで、Aさんご夫妻は、市街地にありエレベーターも完備している市営住宅への引越しをご検討されていました。

しかし、持ち家がある場合は、市営住宅に引越しをすることができません。
そこで、Aさんご夫妻は、長年の想い出や愛着もあるご自宅を、お子様(1人娘)に譲りたいと考えられていました。
ただ、お子様に譲るとなると、税金や契約について不安があり、今回ご相談に来られたとのことでした。

相続時精算課税とは?

Aさんの悩み

公営住宅は、賃料が割安に設定されていることが多いため、希望者が多く、通常は抽選により募集がされます。
また、入居要件があり、収入要件や資産要件等の制限が設けられていることが多く見られます。

Aさんの場合も、資産要件として、持ち家があると入居できないという制限があったため、お子様に不動産をお譲りになられたいと考えていました。
もっとも、Aさんのような場合に限らず、不動産やその他の資産をお子様に譲りたいというご相談は多く見られます。
そのような場合、税金(贈与税等)はどうなるのか、というご質問をしばしばお受けします。

贈与税の仕組み

まず、贈与税についてご説明いたします。
親子間であっても、不動産を贈与する場合には贈与税が発生するのが原則です。

税額は資産の内容によって変わりますが、一般に贈与税は相続税よりも高額になります。
そのため、お子様への贈与を検討したものの、多額の贈与税がネックとなって、贈与しないという結論をとられる方も多いようです。

今回のAさんも、ご自宅の不動産をお子様に贈与するとなると、お子様に贈与税が掛かってしまうため贈与を躊躇されていました。

Aさんの資産構成

ここで、Aさんの資産を見てみましょう。

・自宅不動産(土地、建物) 約900万円
・預貯金 約1,500万円
・生命保険 約600万円
・合計 約3,000万円

Aさんの資産は、上記の通り合計約3,000万円でした。
Aさんは、自宅を手放して市営住宅に入居し、預貯金と年金で余生を過ごすという計画を立てていました。
Aさんが自宅不動産をお子様に譲るにあたり、良い方法はないのでしょうか。

自宅不動産をお子様に譲るにあたり、良い方法はないのでしょうか。

相続時精算課税

「相続時精算課税制度」をご紹介します。
相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子または孫に対し、財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。

この制度を利用した場合、贈与される財産の価額が2,500万円を超えない限り、贈与税が課されることはありません。
この2,500万円の枠は、複数年にわたり利用可能です。

なお、贈与される財産の価額が2,500万円を超えると、一律20%の贈与税が課されます。

相続時精算課税を利用する場合、贈与を受けた人は、翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に、納税地の所轄税務署長に対し、贈与税の申告書に添付して、「相続時精算課税選択届出書」及びその他添付書類一式を提出する必要があります。

相続時精算課税と相続税

以上のように、相続時精算課税制度は、一定の条件を満たせば贈与税を納めなくて良いというメリットがあります。
しかし、2,500万円以内の贈与であったとしても、「相続時精算課税」の名の通り、相続が発生した際に、相続財産として扱われ相続税が課されることになります。
ただし、相続税には基礎控除というものがあります。

これは、相続財産が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」以内の金額であれば、相続税が課税されないというものです。
基礎控除は相続時精算課税を利用した場合でも同じですので、現時点の財産が基礎控除の範囲内で、相続発生時点でも相続税が課されなさそうな見通しであれば、相続時精算課税の大きなメリットを得られることになります。

Aさんの場合も、Aさんが亡くなられた時点で奥様とお子様がご存命なら4,200万円(3,000万円+600万円×2)、お子様だけがご存命の場合でも3,600万円(3,000万円+600万円×1)が、相続税の基礎控除額となります。

つまり、今後の年金収入等を見据えて、Aさんの資産が現在の3,000万円から大幅に増えることが無ければ、そもそも相続税が課されないという状況でした。

そのため、Aさんが相続時精算課税制度を利用してお子様に自宅を贈与した上で、きちんと手続を行えば、贈与税も相続税も課されることはありません。
Aさんは、相続時精算課税制度を利用してお子様に自宅不動産を贈与され、その後市営住宅に入居することができました。

相続税

相続時精算課税の注意点

相続時精算課税制度はメリットばかりの制度のようですが、必ずしもそうとはいえません。
贈与税には基礎控除があり、年間(1月1日~12月31日)110万円以下の贈与であれば、いわゆる暦年課税といって、贈与税が掛からないことになっています。

しかし、相続時精算課税を利用した場合、暦年課税は利用できなくなります。
そのため、暦年課税を利用されたい方にとっては注意が必要です。

また、相続時精算課税制度は、相続税が掛からない見通しの方には大きな効果を発揮しますが、相続税が掛かりそうな方は、贈与により名義変更しても、相続時まで名義変更をしなくても、いずれにせよ相続税が課税されますので、結局のところ変わらないともいえます。
相続時精算課税制度の利用を検討する場合は、以上の点を考慮することが重要です。

具体的にご自身にメリットがあるかどうかについては、専門家にご相談されることをお勧めいたします。

 

弁護士 國丸知宏 執 筆
KOMODA LAW OFFICE 弁護士
國丸 知宏 TOMOHIRO KUNIMARU
得意分野は相続問題。
相続LOUNGEの動画セミナーで講師も務める。
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