事業承継税制
親族内承継をお考えの方へ
親族内承継において、経営者から後継者に株式を異動させる方法としては、売買、生前贈与、遺言、信託があります。
時価より低い価額での売買や生前贈与の場合は贈与税が、遺言の場合は相続税が課税されます。
経営者や後継者にとって、事業承継にかかる税金は悩みの種となるものです。そのため、贈与税・相続税対策や、事業承継税制を用いて税金対策を進めることが重要です。
事業承継税制とは
非上場会社の株式等を後継者が贈与又は相続等により承継した場合に課される贈与税・相続税について、一定の要件のもと納税を猶予する制度です。(1)一般措置と、平成30年度税制改正で創設された(2)特例措置があります。
(1) 一般措置
これは、後継者が相続又は遺贈により非上場会社の株式を取得し、その会社を経営していく場合に、納付すべき相続税のうち、非上場株式等に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されるものです。
認定を受けるためには、原則として、相続開始後8か月以内に申請を行う必要があります。
なお、贈与税の納税猶予・免除制度の適用を受けている間に先代経営者が死亡した場合には、猶予されていた贈与税は免除され、相続税が課税されることになります。ただし、一定の要件に基づいて切替確認手続をすることによって、相続税の納税猶予・免除制度に移行することができます。
(2) 特例措置
10年間(平成30年1月1日から令和9年12月31日まで)の贈与・相続等を対象として、特例措置が創設されています。特例措置の適用を受けるためには、「特例承継計画」を策定し、認定経営革新等支援機関の所見を記載の上、令和5年3月31日までに都道府県知事に提出し確認を受けることが必要です。
一般措置と特例措置の比較は、以下の通りです。
一般措置 | 特例措置 | |
---|---|---|
事前の計画策定 | 不要 | 令和5年3月31日までの特例承継計画の提出 |
適用期限 | なし | 平成30年1月1日から令和9年12月31日までの贈与・相続等 |
対象株数 | 総株式数の最大3分の2 | 全株主 |
納税猶予割合 | 贈与:100% 相続:80% |
100% |
承継パターン | 複数の株主から1人の後継者 | 複数の株主から最大3人の後継者 |
雇用確保要件 | 承継後5年間平均8割の雇用維持が必要 | 弾力化 |
事業の継続が困難な事由が生じた場合の免除 | なし | あり |
相続時精算課税の適用 | 60歳以上の者から20歳以上の推定相続人(直系卑属)・孫への贈与 | 60歳以上の者から20歳以上の者への贈与 |
納税資金の確保納税資金を確保するために、生命保険を活用するという方法があります。
先代経営者が死亡したときに支払われる生命保険金(死亡保険金)を納税資金に充てると、生命保険金は相続税の計算時に一定の非課税枠があるため、相続税の軽減になるという仕組みです。
もちろん、生命保険金をやみくもに契約するのではなく、事業承継や相続の納税額を把握し、契約した会社や個人から必要以上にキャッシュが流出することを避けて活用することが重要です。
また、経営承継円滑化法では、認定を受けた中小企業者等に対し、金融支援制度が設けられているため、これを活用するのも一手です。
KOMODA LAW OFFICEの強み
親族内承継で重要なことは①株価対策、②贈与税・相続税対策、③労務対策、④遺留分対策です。
親族内承継を行う場合、贈与税や相続税が多額になることが多いため、事業承継税制により贈与税・相続税の納税猶予・免除制度の活用が重要です。
一般的には②贈与税・相続税対策は贈与税・相続税(資産税)に特化した税理士が必要となりますが、KOMODA LAW OFFICEは税理士法人として相続税申告の実績が豊富です。税理士法人として①②、社労士法人として③、弁護士として④をワンストップで行っており、親族内承継に必要な全てをお手伝い致します。